すまない

地方に単身赴任している私にとって、自宅に帰るのは半年ぶり。 妻、「おかえり」 妻は、まだ気付いてないようだ。 私、「ただいま」 子供に御土産を渡すと 子供、「えー、またこれ？」 毎回同じ御土産を買って来てしまうのは、御土産まで気が回らないから。 妻、「食事の用意はしてあるわよ」 私のために、すき焼きが用意してあった、旨かった。 私、「子供たちは食べないの？」 妻、「子供たちには焼き肉を食べさしたから」 食事をしているとスマホの着信音が鳴った。 妻、「（スマホは）見なくて良いの？」 私、「うん」 再び、スマホの着信音が鳴った。 妻、「スマホを取ろうか？」 私、「イイ。仕事のメッセージだと思うから」 妻が席を離れた時、スマホを確認すると、何度もメッセージを送って来たのは債権者だった。 私がお金を借りたのは、マッチングアプリで知り合った女のため。 女のために借りたお金なのに、その女の男から私は脅されている。 債権者からのメッセージには、「期日までに返済がなければ、妻にバラす」と書いてある。 妻、「おかわりは？」 私、「もう、お腹いっぱい」 妻、「すき焼きなのに少食ね」 男に脅されてからは、体重が7キロ痩せた。 妻、「疲れてる？」 私、「疲れてないよ」 妻、「ちゃんと寝てる？」 私、「うん、寝てるよ」 とは言ったものの、睡眠薬がないと眠れない。 寝るのにベッドに入ると 妻、「お隣さん引っ越したわよ」 私、「家は売ったの？」 妻、「売り家の看板が出ている」 私、「お隣さんの家、幾ら？」 妻、「2000万円」 私、「2000万か・・・」 妻、「隣の土地は、無理をしてでも買えって言うじゃない」 私、「今で十分だよ」 妻、「蓄えなら多少はあるわよ」 私、「幾らあるの？」 妻、「お隣さんを買えるくらいはあるわよ」 翌日は、久しぶりに妻と食事に出かけた。 私、「この後、どうする？」 妻、「私は買い物をするから、貴方は帰って良いわよ」 先に家に帰った私は、妻が貯めていたヘソクリの2000万円を見付け、号泣してしまった。 なぜなら、お金と一緒に手紙があり、その手紙には「このお金で借金を返済しなさい」と書いてあったから。

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